リハビリより『とりあえずやってみた』
ご自宅で生活されていた時は、何度も転倒され怪我をすることも多かったAさん。
そのため、入所当初より運動の必要性は感じておられたようですが、「運動はせなアカンけどしたくない」「何もしたくない」と全てにおいて意欲はありませんでした。また、表情も硬くあまり笑顔も見られませんでした。
昔の話や好きだったことなど、時間をかけて聞いていると「野菜育てとった。あれは好きやったなぁ」とポソっと。そこで、リハビリの一環として園芸を提案したところ「・・・やってみよか」と言われました。何を育てるかについては「トマトがいいな」とのこと。
ご家族に苗を用意して頂き、植え付けから水やり、剪定まで・・・ご本人にお任せしました。
実が出来るまで、何度か心が折れそうになりながらも、頑張って世話を続けた結果・・・
かわいい実がまず2つ!
実が生ったことがとても嬉しかったようで、それからはご自分から「トマト見に行こか」「水やり行こか」・・・
あれほど嫌がっていた『運動』も
「せなアカンな。今日は運動しよか」
と前向きな発言が聞かれるようになってきました。
また表情も穏やかになり笑顔も見られるようになってきたのです。
以前から「嫁に会いたい」と言われていたAさん。実が赤く色付いてきた頃、収穫したトマトを奥様と一緒に食べることを提案しました。
Aさんの奥様も当施設の別館に入所されています。そのため、Aさんが入所された当初より、お二人の気持ちが合ったタイミングで再会して頂こうと計画していました。が、コロナ禍の影響もあり中々実現していなかったのです。各部門に相談し、感情面が不安定になっても対応するから、と協力を得られたところでご夫婦それぞれに話をしました。お二人とも喜ばれ、特にAさんは涙ぐまれた程。そしてますますトマトの世話に励むようになりました・・・。
奥様に美味しいと喜んでもらおうと、収穫時期の見極めのための味見👇👇
酸っぱかったようです・・・💦
そして収穫時期を迎え、いよいよ再会!!
「お父さんが作ったの?すごいね!!」と満面の笑みの奥様と少し照れくさそうなAさん。
「美味しい!!お父さん上手に作ったね」「うん・・・」
その後は、家のことや息子さんたちのこと、お互いの近況など久しぶりのご夫婦の会話を楽しまれていました。
トマト作りを始めてから、Aさんの表情は豊かになり、ご自分から昔の事など色々な話をして下さるようになりました。
また、「何もしたくない」と何にも興味を示されなかったのが、「今日は運動する」「音楽を聴く」と言われるようになりました。
何がきっかけで変化するか、はその人それぞれです。 またその変化も、良い方にいくか良くない方にいくか・・・やってみないと分かりません。 でも大事なのは『とりあえずやってみる』こと、なんですね!
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